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カイへ

2009年03月03日 23:53

カイ、今日はキミに手紙を書こうと思う。
きっとキミは突然どうしたんだ?と首をかしげるだろう。

ユキが亡くなってから、ユキにはたくさん手紙を書いた。
毎年の命日に誕生日。
もうすぐ、3回目の命日がやってくる。
だけど今年はもう、ユキに手紙を書くのは止めようと思うんだ。

「大好き」という言葉は、毎日のように伝えている。
時々キミが面倒臭そうにため息を吐くぐらい。
でも「ありがとう」と言う言葉を伝えた事はなかったように思う。
100万回の「大好き」や「ありがとう」より
ほんの一欠けらの干し芋を差し出した方が
キミの瞳が何十倍も輝く事を知っている。
キミはそういう奴だ。

少々長くなるかもしれないけど
いつも一人で喋っている私の、独り言だと思って聞いて欲しい。

3日前の2月28日の土曜日。
キミは脱走した。
『脱走兵』という烙印を押されたけれど
キミは何にも悪くない。
むしろ自分で戻ってきた賢い子だ。
原因は全て私にある。
その日、仕事から帰った私は郵便局に行こうと車を出した。
土曜日の時間外、ちょっと遠くのゆうゆう窓口がある郵便局まで行かなければならなかった。
私が仕事から帰って出かける事はまず、ない。
夜のプチドライブは必ず助手席にキミがいる。
それはちょっとコンビニに行く時だったり、母を駅まで迎えに行く時だったり。
窓から顔を出し、耳をはためかせ、風を感じ、
大きな顔で通行人を驚かせる。
その日もきっと、連れてって貰えると思ったのだろう。
土曜日なので家には母がいた。
だから、用心するのを忘れてしまった。
門の脱走防止用の鍵を閉め忘れた。

家を出て15分くらい経った時、母から電話があった。
「カイも一緒にいてる?」
一瞬、何のことか解らなかった。
「門が開いてる、カイがいない。きっと追いかけたんやろう」
母は門が開いてる事に気付いた瞬間、心臓が止まりそうだったという。
私もそれを聞いた瞬間、全ての機能が一瞬フリーズした。
門が開いてる?カイがいない??
家から出て辺りを見回しても見当たらないと言う。
呼んでみても来ないと言う。
「すぐに引き返すから!」と言おうとした瞬間、
「あっ戻って来た!」と母が言った。
自分から、何食わぬ顔で家に入って来たらしい。
電話の向こうで母が、泣きそうな声で
「賢かったなぁ、よう戻ってきたなぁ」と言っていた。
それを聞いた私も泣きそうになった。
私が出て行った方向に、いつも夜におトイレさせに行く場所がある。
脱走して、何処まで私を追いかけたのか、
はたまたちょっとウロウロしてオシッコして戻ってきたのか
真相はキミにしか解らない。
寂しがり屋のキミの事だから遠くには行っていないと思う。
でももし、車が通っていたら…
キミが追いかけて来ている事を知らずに、私が車を発進させていたら…
考えただけでもゾっとする。
ゴメン、カイ。

実はこの出来事があったから、手紙を書こうと思ったんだ。

3年前の2月28日、キミは家族の一員になった。
(だからちょうど3年後に脱走をした事になる。)
よく行くホームセンターのペットショップに、キミがいた。
家に来る一週間前に初めて出会った。
それからほぼ毎日、通いつめていたのを覚えているかな?
今まで何頭もゴルの子犬を見てきた。
「カワイイ、この子がウチの子になればなぁ」と思った事はたくさんある。
でも、「この子だけは絶対連れて帰らないと!」と思った事は初めてだった。
何かに取り憑かれたようにそう思っていた。
でも、家族の誰にも相談はしなかった。
連れて帰ったその日、もちろん母には激怒されたよ。
『家にはユキがいるのに!』と。
確かにそうだ。ユキがいる。大切な家族のユキがいる。
でも今思えば、そのユキがキミを呼んだんじゃないかと思う。
キミが家に来てから2か月後、ユキが遠くに行く夢を見た。
今でもはっきり覚えている。
悲しそうに振り返り振り返り去っていくユキ。
どんなに追いかけても追いつかない。
やがてユキの姿が見えなくなった。そこで目が覚めた。
その約一ヵ月後、本当にユキはいなくなった。

「カイが来たからユキは病気になった」と言われた事もあった。
ショックだった。
きっとユキの寿命だったんだと思う。
誰かのせいや何かのせいではなく、決められた運命だったんだと思う。
だけど、キミに構いっぱなしで病気に気付くのが遅れたのは事実だ。
同時に、キミがいたから今家族が笑っているのも事実だ。

ユキとは7年と5ヶ月、一緒に暮らした。
でも、印象に残っているのは一緒に病気と闘った時の事だけだ。
2回ほど一緒に旅行に行った。
何度か川遊びにも連れて行った。
ずっとセダンだった家の車を、ユキの為にミニバンに替えた。
だけど、何処かに遊びに行ったのは片手で数えられる程で
大半は通院に使う事になった。
車が大好きだったユキなのに、最後は無理矢理乗せた。
それが一番辛かったように思う。
キミとはまだ3年しか一緒に暮らしていない。
短いようだけど、もう10年くらい一緒にいるような気がしてる。
子犬の時から、色々な場所に連れて行った。
ホームグラウンドのファミリー公園や吉野川はしょっちゅう行っているし、琵琶湖や三重、この前は岐阜の高山まで行った。
ミクシィで知り合った親戚さんたちにも会いに行った。
すごく内容の濃い3年だったと思う。
車酔いがひどく、最初の頃は乗せるだけでひどかった。
いつの間にか車酔いも治っていたけど、長時間バリケンの中に閉じ込められるのは辛いと思う。
カイは近所の公園で十分なのかもしれない。
だけど、いつもの場所にはない広いグラウンドや川や湖、雪山に連れて行った時の、キミのキラキラした瞳や飛び跳ねるような走り方を私は知っている。
だから連れて行かずにはいられないんだよ。
写真だって、キミの生き生きした表情が撮りたくて高いカメラを買った。
何千枚にも及ぶキミの写真を保存するために外付けのハードディスクまで買った。
さらに、それを定期的にDVDに焼いて保存するほどの慎重ぶり。
最近では『耐火防水金庫』を買って、DVDを入れておこうかと思うぐらいの親バカぶりだ。
残念ながら、ウチに泥棒に入ったって取られるようなものは何も無い。
部屋を漁る泥棒さんが、頑丈そうな金庫を見つける。
きっと「シメシメ…」と思いながら持ち帰るだろう。
だけど中を開けてみると出てくるのはDVDばかり。
不審に思いながらも再生してみる泥棒さん。
開けど開けど、出てくるのは数千枚の犬の画像のファイルばかり。
泥棒さんは悪態をついて捨ててしまうかもしれない。
だけど、私は気が狂いそうになるぐらい怒ると思う。
もしかしたら「金ならやる、だからDVDを返せ」と言うかもしれない。
それぐらい大切な宝物なんだ。
だから、遊びに行った先でなかなかボールを投げて貰えなかったり
パパラッチ並みにカメラに追いかけられても我慢して欲しい。

最近、よく思う事がある。
「なんちゃって愛犬家」にはなりたくない。
キミの事はわが子のように大切に思っている。
でも決して「わが子」にはなれない。
それはキミが「犬」だからだ。
どれだけ大切に育てても、キミが私の寿命を追い越す事はない。
絶対にない。
普通、子供は親より先に死んだりしない。
だけどキミは、いつか私より先に逝ってしまう。
だから「わが子」にはなれない。
「人間」と「犬」は交わる事はない。
残念なことに、この世は人間を中心に回っている。
キミたちには肩身の狭い思いをさせてしまう事もたくさんある。
私は「犬を飼う」という表現が嫌いだ。
「飼う」というのは、どう考えても人間が上で犬を見下している。
確かに、人間がいなければご飯も食べれないし散歩にも行けない。
そういう意味では「飼う」という表現は適切かもしれない。
でも、犬から与えてもらう事は無数にある。
だから、「飼う」だけではないと思う。
「一緒に暮らす」がいいんじゃないだろうか、と思う。
でも最初に言った通り、人間中心に回ってる以上守らなければならないルールがある。
待てやオスワリは当たり前。
お手やおかわりなんて芸は、別にどっちでもいい。
あれは愛想振りまき用の技だ。
何処に行っても、ルールを守れない子は同じ犬からも嫌われる。
普段の散歩だってドッグカフェやドッグランに行ったって
マナーの悪い子は犬もその飼い主さんも嫌われる。
ペットブーム(私はこの言葉も大っ嫌い)に乗っとって流行の犬と暮らし始めた人には「なんちゃって愛犬家」が多すぎる。
大半は小型犬。
そう、キミの嫌いな小型犬だ。
ギャンギャン吠えようが何しようがリードを縮める訳でもなく、
平気で近寄ってくる。
キミが「売られた喧嘩は買う主義」なのはよく知っている。
だから相性の悪そうな子が来ると、引き返して逃げる。
それでも逃げれそうにないと、足の間に挟んでハーネスを持つ。
そんな必死の防御にも、相手の方はお構いなし。
ギャンギャン吠えるもんだからキミだって怒り狂う事もあるだろう。
リードを目一杯引っ張って応戦する。
私も必死で引っ張り返すけど、大型犬の男の子の本気モードに
勝てる訳がない。
小型犬の飼い主さんは「野蛮な子…」とでも言いたげな顔で睨んでくる。
私の腹わたは煮えくり返る思いだけど、
代わりにキミが怒ってくれているから我慢しているんだよ。
それでも、キミはちょっと怒りすぎな時がある。
必死で引っ張るキミに、私が必死でリードを引っ張ったって
何にもならない。
だからそう言う時は、キミの胸板辺りを脛で蹴るんだ。
そうするとキミは一瞬「えっ?何?」みたいな顔をして力を緩めるだろう?
その隙にズルズル引っ張って行くんだよ。
虐待する気でも腹いせにキミを蹴ってる訳でもない。
そうしないと誰かが怪我をする。
胸板を蹴られて痛いかもしれない。
でも、俗に言う「弁慶の泣き所」で蹴ってる私はもっと痛い。
そこは解って欲しい。

最近は、キミに出来る限り贅沢をさせているつもりだ。
ご飯だってカリカリのフード以外、日替わりだ。
おやつだって「えっ何でこんなに高いの?」と思うぐらいのやつをあげている。
しかも『国産』のみ。高いったらありゃしない。
私のご飯の最後の一口だって必ず食べてるし、おかずだってお魚だった半分ぐらい食べてる。
焼肉やすき焼きの時は、キミのために肉を取っておく。
もちろん味付けはしてあげられないけど。
脱メタボの時代に、ちょっとキミは贅沢すぎる。
練乳好きは私に似たのか?
いちごに練乳がついていないと食べないなんて。
みかんだって薄皮を剥いてやらないと食べない。巨峰だってそう。
坊ちゃん犬め。
でも、「犬にはフードだけでいい」なんて考え方は私は嫌だ。
栄養バランス?
そんなもの、「今日はお肉食べたし明日は野菜で…」とかでいいんだよ。
与えてはいけないものさえ与えなければ、キミたちだって美味しい物を食べたいはず。
どんなに長くたって十数年の人生。
人より遥かに短い人生を最大限に満喫したいだろう。と思う。
でも太りすぎはただの虐待になってしまうので要注意なんだけどね。
とりあえず、私の部屋にくる度におやつを隠してある場所をジーっと見るのだけは止めて欲しい。
あげないよって言ってても、キミのおねだり顔に勝てる事はないんだから。

色々書いたけど、言いたい事はただ一つ。

ウチの子になってくれてありがとう。

それから、一つだけお願いを聞いて欲しい。

一日でも長生きするように。
早くに逝ってしまったユキやアスカくん、キミの唯一の幼なじみだったダイスケくんの為にも。
ご長寿ゴルの特権、真っ白なおサル顔になるまで。

一日でも長く私の側にいるように。

大好きなカイへ。


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